dead_cherry_______21 april 2012, machida

About

制作ノートや批評、それにエッセイなどをブログ形式で、自身のサイト"T_Sasatani Photographs WEB"の一コンテンツとして組み込みたいと考え、試行錯誤しつつ準備を進めています。
むろん他愛もない日記をUPしようというのではない。これまで<写真>について書いたものや自身の写真に関して書かれたものをデジタルアーカイブするとともに、折に触れ、<写真>とその周縁をめぐり考えたり感じたりしたことを記していこうとおもったのだった。とはいえ、訳の分からないアルファベットや数字を組み合わせたペンネームが垂れ流すブログ文化を好ましく思わないので、ここではインタラクティブ性を意図的に排除した。もっとも、双方向のコミュニケーションを遮断したいのではなく、実名(それと分かるペンネームも含め)からのコンタクトはむしろ望むところであり、シリアスな写真集のような構造としたい"T_Sasatani Photographs WEB"内のカジュアルで開かれた1ページ。そうしたものとして構想している。しばらくはベータ版となります。

20110530

水をめぐるアダージョ


4度目の参加となるギャルリーソレイユの企画展『スクエア25_6th』。今回のテーマは”水”。
これは昨年末には決まっていて、僕は『水をめぐるアダージョ』と題し、6x6判モノクロームによるゼラチンシルバープリント3点(horizon/steam/cloud)と考えたのだったが、奇しくも311以後メディアには<水>が氾濫する事となった。
浸水/冷却水/注水/汚染水/ミネラルウォーター/水ガラス/水棺………
そして<放射性物質>。
ヨウ素/セシウム/ストロンチウム/ウラン/プルトニウム………
こうした状況にあって表現するとはどういうことか、いまいちど問い直さなければならないだろう。
出品作は、[crack_239] [plant_131] [cloud_137]。
アダージョ。遅く、緩やかにではあるが軽やかなテンポで。



[スクエア25_6th "水"]

ギャルリーソレイユ
2011年5月30日(mon.)→6月4日(sat.)
11:00→18:30(初日12:00より、最終日16:00まで)

20110529

架空のエキジビションとしての"Cluster_Tokyo"

──『写真の地層展Vol.13』を終えて

──もっとましな方法は、それらの書物がすでに存在すると見せかけて、要約か解説を差しだすことだ。──ホルヘ・ルイス・ボルヘス『八岐の園』プロローグより

さながら五線紙上の音符の進行のように、自身のアーカイブからとりあえずのキーワードとしての<Tokyo>で抽出した<写真>が、回廊または螺旋状の壁面を横へ横へ、あるいは縦へと時系列やフォーマットを無視して連鎖的に連なってゆく。
即興パートや引用を交え、強弱のリズムを伴って疾走と停滞を繰り返しつつどこまでも。
そうした空想の展覧の一断片を断片として提示すること。
さてしかし230キロ圏。
<Tokyo>はついにゴーストタウンと化す日が訪れるのだろうか……。

Vol.11(2009)以来ひさしぶりに『地層展』に参加した。
出品作は前回同様のコンセプトで、コラージュ的手法によるインスタレーション『Cluster_Tokyo』。
写真学校の先輩で主催者の桑原敏郎は、このグループ展を「自分の世界と他者の世界がどのように共存していくかをそれぞれが受けとめてみる試み」だとし、「どんな作品が集まり、どんな空間が作られていくのだろうか……」と仄かな不安と期待が交差した眼差しで記述する(プレスリリースより)。
これは、僕の主要な関心事でもある<並置><共存><部分/全体>といった概念と通底するものがあり、多様な方向性をもつ複数の作品による<場>の共有は搬入・展示時までその全体像が掴めず、いわば即興的にひとつの空間を恊働で創りあげていくといった作業は刺激的であり、出会いと発見のある楽しい経験となっている。
今回は、床面の一部と壁面下部を覆いつくすかのような小松浩子の圧倒的な銀塩モノクロロールプリントと、壁面のあちらこちらに偏在し、抑制されたカラーのシークエンスで静かに侵蝕する桑原敏郎のインクジェットプリントとが織りなすコントラストが基調低音となり、その間隙を縫って多様な作品が危うげながらも調和していてここちよい緊張感があった。
総体的にメリハリがあり、インパクトのある展覧となったのではないだろうか。
次回が待たれるところだが、残念なことに世田谷美術館が改修工事のため当面休館するのだという。
STRATO FOTOGRAFICO、今後どのように展開していくのだろうか。

[STRATO FOTOGRAFICO 2011_写真の地層展Vol.13]
2011年5月18日(wed.)→22日(sun.)
世田谷美術館—区民ギャラリーB
<プレスリリース>
http://www.fukudatakeshi.com/fukudat/vol13dm.html